忍者ブログ
EB用ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


善だなんて言える訳もないけれど。
悪かと問われれば首を傾げる。

そう。俺はあの場にいながら
何がいけないのか、解らなかったんだ。





「              」


唐突に思い出される会話。
似ているようで、見ている方角は反対だった。

そうだな、あの時の自分は、きっと。


--------------------


どんなに言葉を尽くしても。
届かない届かない届かない。
辛いと泣く声、縋る手に触れ。流れる涙を拭っても。
何も出来ない自分が歯痒く、それ以上に悲しかった。
何が出来るとも思ってないし、出来ないからと悲観ぶる程
自分に酔ってもいないけれど。
止まらない嗚咽に耳を塞ぎたくなる程度には、性格が悪いもので。
今こうして居る時間も、無意味だと宣告されているようなもの。
そこに生じたものは嫌悪も憎悪でもなく。
……只々、疲れていた。

ねぇ、じゃあ君は、貴方は、いったいどうして欲しいの?
辿り着いた答えは、奇しくも仮面の男と同じだった。


彼に仮面を纏わせ、歪めてしまったものは何だったのだろう。
解るよ、なんて言葉は安易に使いたくはないし、
そもそも人の気持ちなんて理解できるものでもない。

沢山の痛みを受け止めているうちに、棘は静かに積もっていったのか。
それとも本当に、純粋に殺人を楽しんでいただけなのか。
共犯者という免罪符で、罪悪感から逃れたかったのか。

血を浴びることも肉を裂くことも、今ではもうすっかり慣れてしまったけれど。
断末魔の悲鳴だけはどうにも苦手だ。
痛い、怖い、死にたくない。そんな思いをぶつけられては刃が鈍る。

……そんな風に、始まりの気持ちが似ているならば。
救いがあるんじゃないかって、勝手だけれど思ったんだ。


良い、とか。悪い、とか。
安易にそんな事を言うつもりはない。
立ち位置が変われば見える景色も変わるもので、
誰にとってもの絶対なんてものは有り得ない。
今回だって、其々が其々の思いで以て戦いに挑んだ。
信念は違えど、同じ目的でそこに居た。それが大事なことだろう。

理不尽は大嫌いだ。
人の大切なものを奪い、傷付ける奴らには反吐が出る。
自分が同じ目に遭ったらと思えば気が狂いそうになるし、
そんな終焉は絶対に許したくないと思う。
けれど、本人が死を望んでいたのなら、それは当人同士の契約。
言い換えればやはり「共犯」だったのだと思う。
横槍を入れる俺たちの方こそ……考えても詮無い事。


ただ、仮面の男寄りの考えだとはいえ、それでも。
やはり本来の犠牲者たちにも、もう一度立ち上がって欲しかった。
転がり込んできた死を受け入れないで欲しかった。
それはただの羨望や嫉妬から来る感傷かも知れないけれど。


考えたところで万人共通の答えなんて存在しないのだから、
自分なりに落としどころを見つけるしかない。
あまり褒められた考えではないと知りながら、それがいいのだと言う人がいる。
不自由さが幸せだと笑う彼女の隣で、俺は何を見つけて行けるだろうか。







PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
E-Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール
HN:
リオ
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
P R
忍者ブログ [PR]